屋久島の植物について

屋久島の植物について

屋久島の神秘を彩る美しき植物2

植物は気候の変動によって南下したり北上したりして生きる場所を求めてきました。九州と台湾を結んで南北に連なる南西諸島はその通り道となり、中でも屋久島では亜熱帯から亜寒帯(高山帯)まで幅広い気候帯にしたがって南と北の多様な植物がすみつきました。また、屋久島の多量の雨と自然の大地が特徴ある生育環境を生み、屋久島でしか観られない固有植物を誕生させる事になりました。

初夏に咲くアルピニア属、花の競演

■初夏に咲くアルピニア属、花の競演
写真は、左からゲットウ・クマタケラン・アオノクマタケラン。名前にもランとついていて、ランの花のようにも見えますが、これは、ショウガ科のアルピニア属という仲間です。緑の葉は、何の変哲も無い葉っぱで、3種とも一見見分けが つかない感じに見えます。しかし、花を咲かせると、このように各個性を発揮します。

アオノクマタケラン

■アオノクマタケラン
森の中にひっそりと人知れず咲くアオノクマタケランは、華やかさこそないかもしれませんが、清楚で可憐なという文字が似合う花でしょうか。葉っぱのさわり心地も、柔らかく息を吸い込むといい香りが鼻腔をくすぐります。
屋久島でもプラスチックなど無い時代は、おにぎりを包むのに使用していたとの事。生魚の下に敷いたり、マキノハといって、法事のときに団子を作るのに使ったり、お盆の時期には砂糖と米粉を団子にしたものを葉に立てに巻いて、香りを移したりと、昔から生活に密接した植物だったようです。使い捨て消費社会の現在、このような植物を使った容器なども原点に戻る意味で、使って見るのも良いかも知れませんね。薬草という点からは、赤い実の中の種子を黒手伊豆縮砂(クロデイズシュクシャ)と言い、伊豆縮砂の代用として、芳香性健胃薬や香辛料として使用します。
(赤い実は秋から冬にかけて。)

クマタケラン

■クマタケラン
花は、アオノクマタケランよりは、華やかですが、ゲットウほどでは無い感じ。アオノクマタケランに比べて、葉も硬く、香りもそこまでは無い。幅も少し狭いので、包むにはあまり向いていません。人家の庭によく植えているのを見かけます。これは、実が生らないので、薬用には使われていないようです。

ゲットウ
ゲットウ

■ゲットウ
ゲットウは、海岸ばたや道路わきなどに自生しているのがよく見られます。蕾は重そうにお辞儀をしているようで、中に咲く花は赤と黄色のコントラストが、これからやってくる夏を呼びさますような鮮やかさです。葉は、とてもしっかりしていて、ロープや魚網など繊維を利用していたと言うのも頷けます。薬用としては、種子を使用し、白手伊豆縮砂(シラデイズシュクシャ)といい、台湾産の砂仁はこれ。芳香性健胃薬、香辛料に使用します。

フイリゲットウ
フイリゲットウ

■フイリゲットウ
ゲットウで葉に斑入り。観賞用植物。