屋久島の植物について

屋久島の植物について

屋久島の神秘を彩る美しき植物1

植物は気候の変動によって南下したり北上したりして生きる場所を求めてきました。九州と台湾を結んで南北に連なる南西諸島はその通り道となり、中でも屋久島では亜熱帯から亜寒帯(高山帯)まで幅広い気候帯にしたがって南と北の多様な植物がすみつきました。また、屋久島の多量の雨と自然の大地が特徴ある生育環境を生み、屋久島でしか観られない固有植物を誕生させる事になりました。

ヤクシマシャクナゲ ( ツツジ科 )

■ヤクシマシャクナゲ ( ツツジ科 )
深紅の蕾から咲きすすむにつれ淡いピンクへと変化する花の美しさは、まさに“島の女王様"。標高1100mを越えるあたりから全ての山で見ることができます。厳しい冬を蕾で過ごし、5月の末には、長く激しい梅雨を前に新緑の森と山々が群れをなし、たくましく豪華な花を咲かせます。

ヒメウマノアシガタ(キンポウゲ科)

■ヒメウマノアシガタ(キンポウゲ科)
屋久島ではヤクシマシャクナゲのように群れをなし豪華に見せる花もあれば、山頂付近の湿原には極端に小型の植物も多い。ヒメウマノアシガタはキンポウゲが極端に小型化した種で、7月~8月頃にミズゴケの中で数センチの高さにつける光沢をおびた花びらはとても可憐でものしずかです。

ヤクシマガンピ(シャクナゲ科)

■ヤクシマガンピ(シャクナゲ科)
森林限界とよばれる屋久島の黒味岳の登山道は、低木が多く、膝位までの樹海に、様々な植物が生きています。特に黒味岳の植生は独特で他では見られません。庭木の沈丁花の花にそっくりなヤクシマガンピは6月下旬頃から薄いピンクの花をつけいい香りをさせます。

薬草の宝庫、屋久島(薬島)

亜熱帯から亜寒帯までの、日本列島の縮図ともいえる気候と植生をもつ屋久島は、昔から、"薬島"とも呼ばれ、それふさわしい薬草の宝庫といえます。

オオハンゲ(さといも科)

■オオハンゲ(さといも科)
屋久島の石灰岩地に多く生える多年草。薬用部分は、球茎(7~9月に採取)。鎮静薬として、嘔吐、頭痛などに用いられます。使用法は、生薬3~6gにショウガ3~4gと水600mL 位で煎じ、煎汁を1日3回に分けて服用します。

スイカズラ(すいかずら科)

■スイカズラ(すいかずら科)
屋久島の山地、兵陸部に普通に生えるつる性の常緑低木。薬用部は、葉(6~9月に採取)、花蕾(5月に採取)。関節痛、解熱に、1日量10~15g(花蕾)に400mLの水を加え、半量に煎じて3回に分けて服用します。

ウラジロガシ(ぶな科)

■ウラジロガシ(ぶな科)
暖帯の山野に生える常緑高木。薬用部は、小枝と葉。民間薬として胆石症、腎石症に用いられます。使用法は、1日量50~70gに600~1,000mL の水を加え、1/3量に煎じて服用します。