生薬ガジュツの精油(アロマ)とその色

植物の芳香物質 精油とは

植物の芳香物質 精油とは

精油は植物のさまざまな部分、花、葉、種子、樹皮、根茎などにある腺細胞という特別な細胞で光合成により産生される芳香物質です。

精油の役割

精油の役割

動物のように這って動くことができず、根づいたところで一生を終える宿命の植物にとって精油は身を守り、子孫を残すための武器と考えられています。
花には昆虫を惹きつける芳香物質、果皮には害虫を遠ざける芳香物質、根には有害菌から守る芳香物質が多く蓄えられています。

植物の生育環境と精油成分

植物の生育環境と精油成分

植物によって生育環境が変わるので精油成分も変化します。
例えば、高温多湿の環境では多くの微生物が存在し、種を存続するためには感染を阻止しなくてはなりません。
植物は精油を空気中に発散してウイルスや細菌の感染を防いでいます。

スパイス類の効果

スパイス類の効果

インドネシアなどに育つスパイス類には強い殺菌作用や抗感染作用が備わっており、これを人間のために応用しています。

生薬ガジュツと精油成分

生薬ガジュツと精油成分

インド東部が原産地と考えられているガジュツの分布の北限は日本の屋久島です。
屋久島産ガジュツの根茎の断面は鮮やかな紫色を呈しています。
その色の本体は紫色のリンデラズレンと青色のカマズレンというアズレン類の精油です。
したがって、ガジュツの根茎の断面は青紫色と表現することがあります。

ヨーロッパで用いられたカミツレ

ヨーロッパで用いられたカミツレ

古くからヨーロッパでは、胃腸疾患や各種炎症性疾患にキク科植物カミツレ(Matricaria Chamomilla L. L.)の頭花を乾燥させて茶剤あるいは浴用剤にしたものが民間薬として用いられていました。

有効成分アズレンのブルー

有効成分アズレンのブルー

カミツレの有効成分については、1863 年以降、 Piesse 、Rudolph らが研究し、精油から分離された青色の油を、アズレン( Azulene )と命名しました。その名前はスペイン語で青色を意味する「azul」に由来しています。

医療用のアズレン類

アズレン類は医療用でも、胃薬(例:マーズレン)、うがい薬、点眼薬、外用薬(例:アズノール軟膏)などに使用されています。
アロマテラピーで用いられる精油でカマズレンが含まれる代表的なものに、カモミールジャーマン、タナセタム、ヤローなどがあり、抗炎症作用があると言われています。